4月4日は米雇用統計の発表がありました。
この発表を受けて、ドルは複数の通貨で下落。
トルコリラが対ドルで買われる動きがありました。
雇用統計の終わった現在、次はFOMCの会合に市場の注目が集まります。
今回の記事では、雇用統計のおさらいとFOMCを見据えたトルコリラ対ドル相場の見通しを書いていきたいと思います。
米雇用統計前後の相場のおさらい
まずは、雇用統計前後でトルコリラ相場の全体像を見渡してみましょう。
以下は、トルコリラ対ドルの日足チャートです。
チャートはUSD/TRYの値動きを示しています。
下に行くほど、リラ高です。
ご覧の通り、トルコリラは対ドルで下落局面から脱却しつつあります。
直近のリラ高要因としては、以下の理由があります。
- 2014年1月末にトルコ中銀が緊急利上げ
- トルコ統一地方選で与党勝利により政治リスク後退
- 米雇用統計の結果が市場予想に届かずドル売り反応
今回のトピックスは、米雇用統計後のトルコリラの値動きです。
アメリカ経済を中心に、トルコリラの今後を占っていきたいと思います。
米雇用統計後の値動き
なんだかんだ言っても、アメリカは経済の中心です。
アメリカが動けば、世界は動きます。
それはトルコリラの相場も例外ではありません。
トルコの経済はアメリカの投資機関が握っていると言っても過言ではありません。
さて、4月11日にそのアメリカの雇用統計が発表されました。
以下のチャートは、雇用統計発表前後の値動きを時間足で追ったものです。
この日のトピックスは2つあります。
エルドアン首相が中銀に利下げ要求
夕刻にちょっとしたサプライズがありました。
トルコのエルドアン首相が議会でトルコ中銀に利下げを要求したのです。
[イスタンブール 4日 ロイター] – トルコのエルドアン首相は4日、中銀は緊急会合を開き政策金利を引き下げるべきと述べた。
1ドル=2.1350リラ付近で推移していたトルコリラは、首相の発言を受け、0657GMT(日本時間午後3時57分)までに2.1460リラに下落した。
中銀は1月、選挙をにらみ金利を低く抑えたい政府の意向に反して緊急利上げに踏み切った後、その水準で維持している。
以前の記事でも述べましたが、金利の引き上げはトルコ経済を停滞させます。
ですが、トルコ中銀は必要悪と織り込んで、通貨防衛のために利上げを実施しました。
一方で、エルドアン首相は経済発展政策を推進しています。
以前より、トルコ中銀の利上げ策には反対意見を表明していました。
8月に信任選挙を控えた身としては、この辺りで経済成長を伸ばしてアピールしたいところなのでしょう。
米雇用統計が市場予想に届かずドル売り
こちらがメイントピックスです。
米雇用統計の発表直後、米ドルは全ての通貨で売られました。
[4日 ロイター]米雇用統計を受けてドルが主要通貨に対して値を下げた。
3月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比19万2000人増と、前月の
19万7000人増(上方改定)に続き、底堅い雇用創出ペースを維持した。米連邦準備理事会(FRB)の緩和縮小継続を後押しする内容となったが、LPLフィナンシャルの投資ストラテジスト、アンソニー・バレリ氏によると、より強い内容を見込んでいた一部市場参加者の失望を誘った。
ドルが売られた理由は、市場予測に届かなかったためです。
これまで織り込まれてきた雇用好転によるリスクオンのトレンドを削る動きとなりました。
ただ、アメリカの雇用状況そのものは依然として好転を続けています。
為替相場では、織り込まれていた市場予測に反すると、反動が出る傾向があります。
今回は、市場予測が高すぎて市場の失望を誘う形となりました。
4月FOMCの焦点~利上げとリラ買い
さて、最後にトルコリラに関して今後の為替トピックスを考えていきたいと思います。米雇用統計の発表が終わって、次の話題はFOMCです。
FOMCの会合は4月29日・30日に予定されています。
今後の相場で焦点になるのは、米金融緩和の縮小の度合いです。
米金融緩和はすでに縮小を始めていますが、これの縮小がペースアップするのかどうかという点に、市場の注目が集まっています。
先月のFRB議長発言では、イエレン議長が具体的期限を示唆したことで波乱を呼びました。
現在は、6ヵ月後の利上げ観測が市場のコンセンサスとなっています。
この発言を受けて、2015年の初めに利上げが始まるとの見方が徐々に強まっています。
この期待感が市場を牽引する要因となっていくでしょう。
トルコリラもその思惑に左右されます。
否が応にも、FOMCの内容に今後注目が集まります。
ちなみに、利上げ観測が強まるに連れ、リラ高が期待されます。
投資機関がリスクを取らざるを得なくなるからです。
トルコリラの長期保有や積み立てを始めるには良い頃合いなのではないでしょうか。
筆者は、もうトルコリラに関しては買いのスタンスです。
これから米国の投資機関を中心に、トルコリラを始めとした新興国通貨が買われ始めると考えています。
詳細はまたブログでアップしたいと考えています。