トルコリラの為替相場を動かすファンダメンタル要因
トルコリラを動かす要因には、様々なものがあります。そこで、ここではファンダメンタル分析の代表的な要素だけをご紹介します。
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政策金利の変動
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トルコリラの為替相場では、この政策金利が最も注目されるファンダメンタルファクターです。 トルコに外貨が集まる理由が、金利による利益を見込む投資筋が存在するためであるからです。 一般にマクロ系ヘッジファンドの多くが、金利運用という長期的な視点に立ってトルコリラを保有し、結果として方向性のあるトレンドが形成されます。
ただ、全てのヘッジファンドがその運用利益に満足している訳ではありません。 トルコの金利が下がれば、別の運用方法に資金を移すファンドも出てきます。 結果、金利引下げは、そのままトルコリラの下落に繋がります。
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トルコや近隣諸国の信用不安
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最近は鳴りを潜めていますが、シリアの内紛はトルコリラの下落に繋がります。これは、地政学的なリスクであると言えます。以前はギリシャがそうでした。
世界地図を見て頂けると分かる通り、シリアとトルコは隣同士の間柄です。 当然、経済的な結びつきも強く、相互に依存関係にあります。 特にシリアはトルコから中東への陸路が設けられた重要拠点です。 シリアが政情不安に陥れば、トルコの輸出も目減りしてしまいます。
トルコという国は、そもそもが中東とユーロを結ぶ貿易拠点です。 そのため、政策もユーロ圏に併せて行なっている節があります。このような訳で、中東やユーロ圏との結びつきが強く、それらの経済事情や政治事情がトルコリラの相場変動に影響を与えやすくなっています。
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インフレ率の上昇
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別ページに書いたように、トルコという国はインフレ抑制のために高金利政策を取っています。 このため、インフレ率が市場の金利予測や憶測に影響を与えます。
2013年現在、トルコの政策金利は下落傾向にあります。 理由は、インフレ抑制の効果が出始めているからです。 かつては15%以上あった政策金利も、5%前後にまで落ちました。
しかし、一方でトルコリラのインフレを促す外部要因が生じました。 アメリカの金融緩和策(QE)です。 世界的に、ドルという通貨がばら撒かれているため、他の通貨の貨幣価値が希薄化しているのです。 希薄化は、新興国の通貨に強く影響し、対象になるのはトルコリラも例外ではありません。 世界的に、新興国通貨全般が貨幣価値の下落とインフレを懸念しています。
このような状況にあっても、現在、トルコ政府は金利引き上げによるインフレ抑制は行なわない方針を示しています。 ですが、あまりにインフレ率が高まれば、市場で金利引き上げが噂されるかもしれません。 このような訳で、インフレ率がトルコリラの価格に影響を与える要因となっています。
2014.1.30追記
こちらの記事で書いたように、トルコは通貨防衛策として大幅な金利引き上げを行ないました。
長期保有戦略を取る場合には、こうしたファンダメンタル要因を加味して、相場の行方を見極める必要がありそうです。