今回は最近になって人気が出始めているFXのサヤ取り手法について紹介したいと思います。
サヤ取りとは、条件の異なる2つの金融商品を利用して売買両建てをするトレード手法です。売り買いの両ポジションを取るため、変動リスクを抑えながら利益を上げることができる点が魅力的です。古くは株式で有名な方法ではありますが、FXにも応用可能です。
今回はそんなFXのサヤ取り戦略を2つ紹介します。トルコリラ円の異業者両建てとポーランドズロチ円のサヤ取り手法です。
高金利通貨を使ったサヤ取り手法
今回ご紹介するのは、2つのサヤ取り手法です。1つ目はトルコリラ円の異業者両建てによるサヤ取りです。2つ目はポーランドズロチ円とユーロ円の相関性を利用したサヤ取りです。
トルコリラ円とポーランドズロチ円に共通して言えることは、どちらも高金利通貨であることです。しかしながら、前述した2つの手法は同じサヤ取り手法と言えども、似て非なる性格を持っています。トルコリラ円の異業者両建てがスワップポイントの差額を利用するのに対し、ポーランドズロチ円のサヤ取りはユーロ円との相関性を利用します。
まあ、詳しいことは各章で述べていきたいと思います。以下、ご覧ください。
スワップポイントの差額を利用【その1】
1つ目の方法は、スワップポイントの差額を利用したサヤ取り手法です。トルコリラのような高金利通貨はFX会社によってスワップポイントの設定金額が異なります。その結果、売買両建てをしてもトータルで日々の利益がプラスになるケースがあるのです。
以下は異業者両建ての具体例です。この記事を書いている現在、上記2つのFX会社の組み合わせならばスワップポイントがトータルでプラスになるのです。要は、この状態を維持すれば毎日収益を得ることができるという訳です。
2019年現在
口座の種類 | FX会社 | スワップポイント |
---|---|---|
買い持ち口座 | インヴァスト証券 | 買いスワップ+78円/日 |
売り持ち口座 | セントラル短資FX | 売りスワップ-61円/日 |
差額 | +17円/日 |
この手法は異業者両建てとかスワップポイントのサヤ取り、もしくはスワップアープと呼ばれています。日々、コツコツ小さな利益を積み重ねることができる点がポイントです。
一方で、為替レートの変動で損失を出すリスクは大きくありません。なぜならば、2つのFX会社で売り買い両方のポジションを持っているためです。片方のFX口座は確実にマイナスになりますが、もう片方の口座は為替差益が出る仕組みです。
詳しい方法は以下の記事で紹介しています。ご覧ください。
関連記事:トルコリラ両建てのスワップ裁定取引【FXサヤ取り】
通貨同士の相関性を利用【その2】
もう一つの方法は、通貨の連動性を利用したサヤ取り手法です。本来的には、こちらの方が古くから知られているサヤ取り手法であると言えます。相関性のある2つの通貨ペアの間に乖離が進んでいる場合、片方を買い、片方を売ることで乖離が収束した場合に利益を得ることができます。
古くから知られているのは株式のサヤ取りですが、相関性のある通貨ペアを見つければFXにも応用可能です。具体的には、ポーランドズロチ円とユーロ円のペアです。この2つの通貨ペアには相関性のあるあることが知られていて、サヤ取りの絶好の対象商品となっています。
ポーランドズロチ円は高金利通貨であることもポイントです。現在、ポーランドズロチ円とユーロ円には乖離が生じている状況。この状況でポーランドズロチ円を買い、ユーロ円を売るというペアトレードをすれば、サヤ取りの利益に加えてスワップポイント収益を重ねることができそうです。
具体的な方法については、別のページで解説しています。併せて、ご覧ください。
関連記事:【保存版】通貨の連動性を利用したFXのサヤ取り手法を解説
サヤ取り手法の注意点
最後にサヤ取り手法の注意点を解説しておきましょう。サヤ取り手法は為替の変動リスクを抑えることができるといっても、リスクそのものは存在します。特にサヤ取りの前提条件である「裁定条件」が崩れるリスクはよく管理しなければなりません。
トルコリラ円の異業者両建てリスク
異業者両建ての場合は、FX会社の間にスワップポイントの差額が生じていることが裁定条件です。現在のところ、トルコリラには裁定条件が継続していますが、裁定の機会が失われる可能性は否定できません。
リスク管理としてポジション解消の有無を判断しなければならない点が、サヤ取りトレーダーの腕の見せ所です。定期的にFX各社のスワップポイント金額を見直しましょう。FX口座を乗り換えるという選択肢もアリです。
この点については、以下の記事に具体例を示しています。併せて、ご覧ください。
関連記事:異業者両建てで失敗するパターン
ポーランドズロチ円のサヤ取りリスク
同じく、ポーランドズロチ円の場合も「ポーランドズロチ円とユーロ円に相関性がある」ことが裁定条件です。言い方を変えれば、両者に乖離が進んでしまった場合には裁定の機会が失われる結果になります。いわゆる股裂きの状態です。
現在の所、過去30年に渡ってポーランドズロチ円とユーロ円には相関性が確認できています。ただ、どちらかの国に何か重大な問題が生じると相関性が崩れるかも知れません。あくまで「相関性がある」というのは仮定であるという認識が必要です。
この点、できれば乖離が進んだ状態でペアトレードを開始することが得策です。また、損切りのラインも決めておきましょう。サヤ取りと言えども損切りの可能性がある点は頭に入れておく必要があります。
という訳で、今回はFXにおけるサヤ取りの手法を2つ解説してみました。興味のある方は、関連記事もご覧ください。FXのトレードに何かヒントがあるかも知れません。