ForexTester3は、FXの売買手法(裁量)やプログラム(自動)の検証を行なうためのソフトウェアです。ソフトウェア本体には、一定期間のFXチャートデータが収められてはいます。ただ、過去のより長い期間の履歴や収録されていない通貨ペアを検証したい場合、追加のヒストリカルデータ(為替レートの配信履歴)を用意する必要があります。
ヒストリカルデータを取得する方法はいくつかあります。このページでは、デューカスコピージャパンからヒストリカルデータを入手する方法を操作画面付きで解説します。
FT3のチャートデータの入手方法3つ
最初にチャートデータを入手する方法の選択肢を挙げていきましょう。ForexTester3にはcsv形式、もしくはhst形式のチャートデータがインポート可能です。これらのデータは、以下の3種類の方法で手に入れることができます。
- 有償アップグレード
- MT4データをコンバート
- FX会社の配信データをダウンロード
有償アップグレードとは、ForexTesterと提携しているブローカーから有料でチャートデータを手に入れる方法です。FT3上でのデータ更新作業が楽で、面倒な手続きが要らないという利点があります。ただ、なかなかのお値段(30ドル/月~)がしますし、継続的に支払いを続けなければなりません。
MT4のデータをコンバート(変換)するという方法もあります。チャートソフトのMetaTrader4には、日々更新される値動きのデータが格納されています。そのデータを抜き出して(エクスポート)、ForexTester3にインポートし直すという手段もあります。ただ、少々面倒な作業(サーバー時刻を合わせる等々)が伴います。この方法は、また次回に解説したいと思います。
最後の選択肢が、FX会社が公開している配信履歴をダウンロードする方法です。為替レートの配信履歴を公開している会社はほとんどないのですが、あえて大々的にアピールしているFX会社があります。デューカスコピージャパンです。
今回は、このデューカスコピージャパンのデータをForexTester3に利用する方法を解説します。ただし、同社のリアル取引口座を持っている前提で解説します。デモ口座でも対応できますが、30日間の期間に限られます。また、データの正確性は保証されない点に留意ください。
デューカスコピージャパンを使うメリット
ここで、デューカスコピージャパンのチャートデータをダウンロードするメリットを挙げておきましょう。あえて同社のデータを利用する利点は以下の通りです。
- 1分足の短期間からデータが揃っている
- マイナー通貨(トルコリラやメキシコペソ)を扱っている
- データ作成時点で形式を整えられる(土日データの削除など)
- 日足未満のデータ記録時刻がGMT+0基準である
- 日足データの開始時刻をGMT/EEFから選べる
後半部分は、主にデータの記録時間に関するトピックスです。為替というのは24時間世界中で動いています。ここで問題となるのが「時刻の基準はどこか?」という話です。ニューヨーク市場の開場は朝8時でも、日本は夜中の22時であったりしますし、そもそも日足データの一日の始まりは何時だという問題もあります。土日の扱いはどうするのか?という問題もありますね。
詳細は割愛しますが、ForexTester3を使う場合はグリニッジ標準時間(GMT:Greenwich Meaning Time)で記録されたデータを使うと面倒が少なくなります。同じく、土日に市場が閉まっている間の空データも最初に削除しておくと後の作業が楽になります。一日の開始時刻についても然り。
デューカスコピージャパンでは、データをダウンロードする時点で上記の項目を設定することができます。簡単に言って、データをダウンロードして、そのままForexTester3にぶち込めばOK。データの更新作業が非常に楽です。オススメですよ。
デューカスコピージャパンでヒストリカルデータを取得
ヒストリカルデータを取得する具体的な手順に移りましょう。まずは、デューカスコピージャパンの取引ツールであるJFOREXをインストールしてください。JFOREXとそのインストール手順は同社のHPに掲載されていますので、ここでの解説は割愛します。
JFOREXを立ち上げる
最初に取引ソフトのJFOREXを立ち上げましょう。JFOREXには「JFOREX」と「JROREX3」の2バージョンがありますが、どちらでも構いません。
ヒストリカルデータの入手
ソフトが立ち上がると取引プラットフォームが現れます。上段のメニューから「表示⇒ヒストリカルデータ取得」をクリックして下さい。
上記の操作をすると、下部のウィンドウに「ヒストリカルデータ取得」の項目が現れます。
このサイズでは一部の内容しか表示されないので、サイズを大きくして下さい。タブをクリックしたままマウスを移動すると、枠を切り離すことができます。
ダウンロードデータの形式を指定
ダウンロードの前に、データ形式の設定を行ないます。以下の画像・解説を参考に設定を行なって下さい。
- 開始日時+終了日時:必要な期間をお好みで
- 形式:CSV/HSTの2種類があります。FT3で利用可能なのはHST形式です。
- 日付形式:HST形式では指定できません。
- 区切り:同じく指定できません。
- ビッド/アスク:売りレート/買いレートをお好みで。
- データ種類:データの細かさで言えば「分」がオススメです。
- 値:上記のデータ範囲を指定します。「分」+「1」(1分足データ)がお勧めです。
- フィルター:「フラットデータ期間を非表示」にすると後の面倒が減ります(後述)。
- 1日の開始時間:あえて日足データをダウンロードする場合には、EET(東ヨーロッパ時間)とGMT(グリニッジ標準時間)が選べます。日本では多くのFX会社がEETを採用しています。
- データ出力先:デスクトップでもドキュメントフォルダでも。お好みで保存先を選んで下さい。
- (対象通貨):必要としている通貨ペアにチェックを入れてください(複数可)。ここではトルコリラサイトらしくTRYJPYを選んでいます。
土日データの削除について
データをダウンロードする際は、フィルタを使ってフラットデータを削除しておくと楽になります。土日の値動きをカットする行為です。ForexTester3でも土日データのカットはできるはずなのですが、どうにも休日の判定が怪しいようです。指示通りに操作しても週明け早朝のデータが足りなかったりします。
これは窓開けトレード等を考えると不便です。厳密なデータ管理をするために、データ作成の時点で売買のないフラットデータは削除してしまった方が無難です(デューカスコピーのデータダウンロードではそれができるのが良い所です)。
最後に「開始」をクリックすると、ダウンロードが始まります。ダウンロードが終わったら、保存先フォルダを確認してください。
おわりに
今回は、FX会社であるデューカスコピージャパンからヒストリカルデータを入手する方法を解説しました。同社は1ティック単位の最小データまで公開していますので、データの質としてはかなり優良ではないでしょうか。冒頭に書いた通り、そうした質の良いチャートデータというのは、一般には有料で売られている傾向があります。
個人的に重宝している点は、トルコリラ円のスプレッドです。同社のスプレッドは非常に狭く、NY時間あたりだと2銭程度に収まります。大体、他の会社だと5~8銭程度なので、スプレッドコストが割安に収まります。
参考:デューカスコピー・ジャパンのトルコリラ円スプレッドがすごい
FXの検証というと、一般にはEA(自動売買プログラム)の検証を指します。ただ、ForexTester3を利用されている方は裁量トレーダーの方がほとんどでしょう。この点、MT4対象業者に絞らなくてよいという自由度があります。デューカスコピージャパンは自動売買もアピールしてはいますが、同じプラットフォームで手動注文も可能です。口座をお持ちでない方は、お試しで使ってみてはいかがでしょうか。デモ口座も用意されています。