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トルコリラ緊急利上げとFXのトレード戦略

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昨日1月28日、トルコ中銀緊急会合を開き、主要政策金利12%への緊急利上げを決定しました。
トルコリラは、緊急会合が開かれると分かった時点で上昇。
利上げ決定後にはさらに上昇する状況が続いています。

今回は、この緊急利上げの概要と為替・経済への影響をご説明していきたいと思います。

トルコ中銀緊急利上げの経緯

トルコリラの為替相場展望2014年1月版」でご紹介したように、ここまでトルコリラは長らく下落局面にありました。
ただ、トルコ中銀も、このリラ安の状況に甘んじていた訳ではありません。
為替介入を行なうなど、事態の改善に手を打ってきました。

しかし、1月24日にはアルゼンチンペソの暴落を受けて、同国に通貨危機の懸念が浮上。
新興国全般もその影響を受けて、総じて通貨安の展開が続いていました。
トルコも例外ではなく、最安値を更新する事態に陥りました。
トルコが一番恐れている問題=インフレの到来です。

そこで打たれたのが、今回の緊急利上げです。
1月28日、トルコ中銀は緊急会合を開くことを決定。
そして、会合の結果、主要政策金利を12%(+4.25%)に引き上げることを明らかにしました

金利の高さとして、2011年以来の高水準です。

金利引き上げの目的は、言わずとしれたインフレ抑制です。
金利引き上げとは、市場への通貨供給を減らし、1通貨当たりのプレミアを上げる手段です。
ニュースを賑わしている米量的金融緩和やアベノミクスとは逆の手法(=金融引き締め策)に当たります。
特に、トルコ中銀は「見通しが落ち着くまで引き締め策を続ける」と明らかにしています。
金融引き締め策を、今後も続けることをコミットした訳です。

トルコと世界経済への影響

上記の金融引き締め策は、トルコ経済のみならず、世界経済にも影響を与えています。
メリット・デメリットを含めて、ざっと影響のある事柄をご紹介します。

まず、現在の状況として、以下の影響が生じています。

新興国リスクの後退

新興国の通貨危機懸念は、先進国に波及していました。
この1週間、先進国でもリスク回避の動きが続き、株安の展開となっていました。
しかし、トルコの金利引き上げを受けて、新興国リスクは後退。
1/28の日経平均市場は、反発上昇の展開に転換しました。
さらに、下落トレンドであったオーストラリアドルも買われています。

一方で、長期的に見ると、以下の事柄に影響が生じると考えます。

トルコ国内の成長停滞懸念

金融引き締め策は、言わば貸し渋りとも言えます。
トルコ国内の企業や消費者が銀行から融資を受ける場合、高い貸し出し金利を背負うことになるからです。

結果、予想されることは企業の投資額減少と国内消費の減退です。
総じて、長期的にはトルコ経済の成長を止める要因になります。

政治の混乱リスク

トルコは3月に統一地方選挙を控えています。
この統一地方選挙にあたり、現行政権のエルドアン首相には景気刺激策を推進してアピールする目論見があったようです。

今回の金利引き上げは引き締め策ですから、現行政権の方針に反します。
現行政権の実行力が問われますから、選挙においてマイナス要因です。
すると、統一地方選挙で現行政権が負ける可能性が出てくる訳です。

現行政権の政策が良いか悪いかともかくとして、政権が変わり、トルコの政治に混乱が生じるリスクが考えられます。

他の新興国に利上げが波及

今回のトルコ利上げを受けてか、翌日にインドも政策金利の利上げを決めています。
インドも自国通貨のルピー安に悩まされる状況であったので、金利引き上げは妥当な選択肢であると言えます。

これに続き、他の新興国も利上げに踏み切る可能性が出てきます。
ここまで介入を続けているブラジルや南アフリカあたりに利上げ観測が浮上すると予測します。

利上げと為替への影響

最後に、肝心のFXのポイントをご説明したいと思います。

まず、今回の緊急会合が開かれると決まった時点で、トルコリラに大幅な買いが入りました。
以下は、その時点でのチャート(USD/TRY)です。

トルコ中銀会合決定時のチャートトルコ中銀会合決定時のチャート

チャートは、下に向かうとリラ買いです。
ご覧の通り、大きく上ヒゲをつけて買われたことが分かります。

基本的に、金利上昇となれば外貨を呼び込むことができます。
すると、上昇局面への転換、リラ高への期待が高まります。
少なくとも、ここまで積み上げられた短期投機筋の売り建ては解消されるでしょう。
Bidポジションの支払い金利が大幅に上昇するからです。

ここら辺を考えると、為替取引の戦略が見えてきます。

長期投資・積み立ての開始

長い目で見てリラ安が底を打つ可能性があり、長期の買いポジションを仕込むには良い節目なのかと思います。

スイングトレードは逆張り

一方で、まだトレンドは下落トレンドです。
短期スイングトレードの買いは、逆張りになりますので苦しい所です。
トレンドが見えない中で、リスクvsリターンの割合がよろしくありません。

裁定の拡大

今回の利上げを受けて、証券各社のスワップポイントも上昇するでしょう。

すると、各社の間で生じているスワップポイントの差(裁定)が大きくなる可能性があります。
相場が落ち着いたら、異業者両建てでスワップポイントタダ取りをするチャンスです。
ただし、ボラティリティが大きいので、ロスカットに気を付けるべきです。

関連記事:トルコリラ両建てのスワップ裁定取引