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トルコリラ相場の見通し2014年2月版

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この記事は2014年に掲載したものです。最新のFX予想とトルコ経済事情について気になる方は以下のページをどうぞ。

関連記事:トルコリラ管理人のFX予想~2018年の展望

為替取引の世界では、1ヵ月先の展望までなら見通すことができると言われています。
本日は、最近の主なニュースを振り返りながら、2012年2月のトルコリラ相場見通しを立てていきたいと思います。

内容は、以下の通りです。

全体の流れとして、①消化済みの材料②トルコリラの現在の状況③今後のシナリオという形で、見通しを語りたいと思います。

新興国リスクとトルコの利上げ

先月28日のことです。
トルコ中央銀行は緊急会合を開き、突然の利上げを決定しました。
このことは、先日の記事「トルコリラ緊急利上げとFXのトレード戦略」で書いた通りです。
先の見通しを進めるにあたり、まず、この緊急利上げの背景について触れておきます。

事の発端は、アルゼンチンペソの暴落です。
アルゼンチンペソの大幅下落を皮切りに、次々と他の新興国の経常赤字が取り沙汰されるようになったのです。

「暴落」の2文字が見えたことで、アルゼンチンの財政破綻が懸念されるようになりました。
さらに、騒動はアルゼンチンに留まらず、経常赤字を抱える他の新興国全般に波及しました。
どこの新興国も慢性的な経常赤字を抱えているため資金がなく、通貨防衛策を取ることができないと連想されたのです。

おそらく投資家達の頭にあったのは、1997年のアジア通貨危機でしょう。

アジア通貨危機

当時、タイでは年間経済成長率9%を続けていました。にも関わらず、同国通貨のバーツはヘッジファンドによる売り浴びせ受け、大暴落を引き起こしました。
その影響が、タイに留まらず、フィリピン、香港、韓国等のアジア各国に波及した事件です。

最終的に、タイ、インドネシア、韓国は経済に大打撃を受け、IMFの管理下に置かれました。

経常赤字で体力のない新興国は、通貨防衛策に失敗する恐れがあります。
投資家達は過去の例を鑑みて、今回も防衛力のない新興国の経済が破綻する事態を恐れた訳です。

このような事態を受けて、いち早く対応したのがトルコです。
それまで、トルコリラが対ドルで最安値を更新し続けるなど、インフレ懸念を抱えていた同国が動きました。
28日に中央銀行が緊急会合を開催。
会合の結果、12%に達する大幅な政策金利の利上げを発表いました。

トルコリラ相場の現況

以下は、2月1日時点のUSD/TRYのチャートです。

トルコリラ相場の現況2014年2月1日トルコリラ相場の現況2014年2月1日

チャートは、下に行くほどトルコリラ買いです。

インジケータとして利用しているのは、ガンマチャートです。
詳細は別途書く予定ですが、短期筋と長期筋の動向を探るのに便利です。
トルコリラのようなマクロ系ファンドが好む通貨の指標として、個人的に愛用しています。
ここでは、赤い線の束が長期筋(マクロファンド)の買い建てポジション、青い線の束が短期筋のポジション単価を示しています。

ご覧の通り、1月28日の利上げ後にトルコリラは買われ、その後大きくリバウンドしています。
この値動きは、短期筋がポジションを解消したことを示唆しています。
赤い線の束の上で、短期筋の売買だけがやりとりされているからです。
一方で、マクロ系ファンドが動いたというニュースはありません。

結論として、現在、明確な方向性は出ていません。
twitterでもつぶやきましたが、トルコリラの相場は迷走している状況です。

相場の行方は新興国次第!?

前述の通り、トルコリラの動きに方向感はありません。
ただ、これはトルコリラに限ったことではありません。
米ドルやユーロも、そして日本の国内株も、もやもやした展開が続いています。

これは、現段階で新興国リスクに対する解釈が分かれているためだと考えます。
外為市場の話題となっているのは、米量的金融緩和縮小の度合いと新興国への影響です。その点、つい先日のFOMCで出された議題に新興国への配慮等の記載があれば、足がかりになっても良い所でした。
しかしながら、100億ドルの規模縮小は変わらず、FRBのバーナンキ議長も、就任最後のFOMCでありながら新興国への影響については言及しませずに会見を終えました。
残念ながら、新興国リスクを払拭する材料は出なかった訳です。

そうなると、今後の材料は新興国各国の通貨防衛策が焦点になってきます。

繰り返しになりますが、トルコはいち早く利上げを行い、通貨防衛に舵をきりました。
さらに翌日、インドも利上げに追随しています。
今後起こり得るシナリオとしては、かねてから為替介入を続けていたブラジルが利上げに踏み切り、さらに南アフリカやオーストラリアがそれに続く構図が考えられます。

このシナリオが成立すれば、とりあえず各国のインフレ状況は改善されます。
そうなれば、止血は完了。
為替レートはアップトレンドに傾くことでしょう。

以上、「もし、新興国が利上げに追随すれば、トルコリラは買い」という条件付の結論で締めくくりたいと思います。

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