今回は直近のトルコリラのポイントとなる為替レートを解説していきたいと思います。
12月5日、突然に急落したトルコリラ。根本的な要因は海外勢がクリスマス休暇に入ったことです。感謝祭が終わると海外のトレーダー達は休暇を取り始めるのですね。要は季節要因です。このまま年明けまではっきりとしない年末相場が続くことでしょう。
特にトルコには大きなファンダメンタルズ要因の変化がない下落となり、慌てている方も多いと思います。そこで今回はチャート分析を主軸にポイントとなる為替レートを解説していきたいと思います。
トルコリラ急落の原因は逆イールドカーブ?
最初に大きなニュースから確認していきましょう。2018年12月4日にNYダウは大きな下落となりました。リスクオフの値動きです。以下はロイターのニュースから抜粋しました。
コラム:「逆イールド」は凶兆、景気後退のシグナル点灯か
[ニューヨーク 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] – 米債券市場の点滅灯が青色から赤色に変わった。米国債利回りは4日、3カ月ぶりの低水準にまで落ち込み、リセッション(景気後退)の可能性を示すシグナルが点灯した。
(中略)
長期金利の指標となる米10年債利回りは2.91%に低下し、FRBが9月に行った0.25%の利上げを実質的に無効にした。10年債利回りは2年債利回りを下回る水準に近づいている。こうした「逆イールド」は過去40年、全てのリセッションに先立って発生している。
要は、米国のリセッション(景気後退局面)を示す「逆イールドカーブ」のシグナルが出現したという訳で、米国を始め、世界的なリスクオフ局面となったという内容です。
- 逆イールドカーブとは
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「逆イールドカーブ」というのは短期金利が長期金利を上回る状態です。通常は長期の金利が短期のそれを上回るのが平常の状態です。長期保有の方がリスクが高いのですから。それが逆転した状態ですから、ある種の異常状態です。
市場では、これが金利が下落するシグナルだと受け止められています。金利が下がれば投資価値がなくなる。投資価値がなくなれば投資が減る。投資が減れば景気が後退する。こういうロジックです。
という訳で、市場は逆イールドカーブの出現に戦々恐々としていました。
年末需要と為替レートの分析
とまあ、リスクオフでトルコリラは下落してしまった訳ですが、根本的な原因は他にあると管理人は考えています。需給要因です。
本来的に、年末年始と言うのは株も為替も需要がありません。主だったトレーダーがクリスマス休暇に入ってしまうからです。この動きは例年、感謝祭が終わった辺りから始まります。今年はその傾向が少し遅れていて、12月初旬の現在に突如現れた。こういう見方を管理人はしています。
そのため、年末のこの時期の売りは「利益確定の売り」であるとも考えます。逆に言えば、トルコリラのリバウンド相場は年明けにも、もう少し続くのではないかと睨んでいます。チャートの位置も折り返すには中途半端です。また、先日の記事にも書いた通り、トレンド継続のサインが出ている一方、トレンド逆転のシグナルは出ていません。
そんな訳で、以下にはチャートでトルコリラの為替レートを分析してみたいと思います。
下値20.6円を割るか否かがポイント
基本的には年明けには大きな買いが入るとは思いません。しかし、大きな悪材料も出ていません。つまりは膠着状態で、年末年始のレンジ相場入りだと考えます。
レンジ相場であるという仮定が正しいとすれば、取るべき行動はレンジの安値を拾うことです。このレンジの下限レートが現在は20.6円となっています。この20.6円がキーポイントで、しばらくはここを下限としたレンジ相場が続くことでしょう。
以下にトルコリラ円のチャートを示します。
当然、この想定が外れた場合は損切りです。ただ、損切りと言えども明確にレンジを割る20円付近に逆指値を置いておけば良いので、想定している利益対損失の割合は高くなります。悪くないトレードになるのではないかと思います。
上値は22.6円に大きな壁
可能性は高くないと思いますが、レンジの上限を突破したと誤解しそうな値動きをする可能性もあります。しかし、本当のレンジ突破がこの年末相場で起こるとは思えません。というのも、22.6円に大きな壁があるからです。
22.6円とレートは何かと言えば、9月のトルコショックが起こる直前のサポートラインです。サポートラインは突破されればレジスタンスラインに変わります。特にトルコショックの前も長らくレンジ相場を続けていましたから、この22.6円のレジスタンスラインは強烈に意識されるものと考えます。
つまりは、22.6円がレンジ相場の上限という訳です。ここに辿り着いたら短期のポジションは閉じるのがトレードのセオリーといった所でしょうか。新たな材料が出ない限り、突破が難しいラインであると分析しています。
まだまだ危ういトルコの債務危機
以上の通り、今回は季節要因とチャート分析を主軸にトルコリラの見通しを解説してみました。では、付け足しとして、ファンダメンタルズ要因にも触れておきましょう。
目先では米国との関係改善や中東との外交関係で優位に立つなど、良好な外部要因をトルコは形成しています。ただ、市場ではまだトルコショックの後遺症が抜けきっていません。債務問題です。
先日の記事でも書いた通り、トルコは莫大な対外債務を抱えていて、その支払い方法の対応に追われています。借り換えようにも、信用度合いからして借り手を見つけるのも難しく、支払い能力が危惧されています。トルコショックの発端です。
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現在でも、この状況に変化はなく、大局的に見れば下げ圧力の中で買う必要があります。前述の通り、22.6円を突破するためには何かしらの新たな好材料が必要であると考えます。現在のトルコリラにはこうしたリスクがあることを頭に入れておきましょう。
もっとも、本論で語った通り、目先は20.6円~22.6円のレンジ相場であると考えます。今年最後のトレードを惜しむことなく完遂したければ、買いでトライする戦略はアリでしょう。長期的な見通しは、もう少し時間を待って材料を見る必要がありそうです。
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