この記事は2014年に掲載したものです。最新のFX予想とトルコ経済事情について気になる方は以下のページをどうぞ。
2013年はトルコリラが大きく下落した年でした。今回は、2014年の見通しを立てるに当たって、トルコリラの為替相場を動かす要因を考えてみたいと思います。以下、経済指標や経済イベントなど思いつく限りまとめてみました。
経済指標
- 政策金利
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トルコリラが直接買われる場合、その理由は金利が高いからです。 短期筋のヘッジファンドは、金利の上下で打診買い・売りをします。 ただ、トルコの政策金利はサプライズが多いため、なかなかアナリストの予想はあたりません。 2013年8月の2期連続利上げなど、完全に市場予想を裏切った実績があります。
- インフレ率
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こちらも政策金利に関係します。
トルコでは、かつてハイパーインフレが起きた経験から、インフレは国民の脅威の的です。このため、インフレ抑制のために政策金利を高く設定しています。 インフレ率が上昇すれば、通貨としての信頼が揺らぐ一方、利上げ期待が高まります。
- 失業率
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トルコの失業率は、2010年に12%にもなりました。 2014年現在は10%を下回っていますが、それでも高い失業率は懸念材料です。 失業率の増加=成長停滞という図式が成り立ちます。
- GDP成長率
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そのまま、トルコ経済の成長率を示しています。 現在、GDP成長率5%がひとつの目安です。 これを上回ってくれば、トルコに投資が集まり、リラ高が期待できます。
政治・経済政策・外交などの要因
- シリア問題
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シリアはトルコの東部と国境を接しています。 そのため、シリアの内戦がトルコに飛び火する懸念がくすぶっています。 これがネガティブイベントとして機能します。
これまで、シリアとのトラブルが生じる度に「リスク回避⇒資金の流出」というフローが発生してきました。 しかし、現在シリア問題は収束に向かいつつあります。 シリア問題が解決に向かえば、再び投資資本の流入を期待することができます。
- 政治的混乱
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2013年だと反政府デモや閣僚の汚職疑惑などが該当します。 これらのネガティブイベントが起きれば、やはりリスク回避による資金引き上げが生じます。
ただ、トルコは政治が盤石で牽引力が強く、国の成長を政治がグイグイ引っ張るようなイメージがあります。そのため、前述のようなイベントは一時的な下げ要因にしかならないとの見方もあります。
- EU加盟交渉
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トルコのEU加盟は、トルコとヨーロッパ諸国双方にとってメリットがあると言われています。 ただし、トルコの①歴史的経緯(キプロス問題)や②加盟水準の不適合(人種差別等)、③トルコ移民の流出懸念等の問題で加盟が延び延びになっています。
トルコ政府としては、EU加盟に向けて政治革命を続けています。さらに2013年12月には、保留されていた加盟交渉が再開されました。今後、加盟交渉が進展すれば、発展期待からトルコリラが上伸するかもしれません。
トルコ国外の外的要因
- 世界的金融緩和
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アメリカのQE、日本のアベノミクス等が該当します。
金融緩和の結果、2013年には先進国の株式が大きく買われました。 しかし、その一方で新興国からの資金引き上げがあった訳です。 結果、トルコも例外ではなく、リラ安が進みました。
逆に、今後のリラ高の要因として期待されるのが、米金利の低下です。 金利低下により資金調達が容易になれば、アメリカからの対外投資の枠が広がります。
- エネルギー価格の高騰
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トルコはエネルギーの供給をほとんど海外に頼っています。 そのため、中東のトラブル等でエネルギー価格があがると経常赤字が拡大します。 エネルギー価格の高騰⇒成長停滞⇒リラ安という図式が出来上がります。
- トルコの格付け
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ムーディーズの格付けが上がれば、投資資本の流入が進みます。
2013年5月16日には、「Baa3」(投資適格級)にランクアップしました。 2013年後半のネガティブイベントをクリアしてなお、格付けが維持されれば、資本の回帰が期待できます。
まとめ
以上、メモ書き程度ですが、ファンダメンタル要因を書く連ねてみました。
もっとも、上記の要因は、その時々によってクローズアップされる重みが違います。
そのあたりの詳細は、コラムとブログでアップデートしていきたいと思います。
投資の参考にして頂ければ幸いです。