この記事は2014年に掲載したものです。現エルドアン大統領の政策志向について、最新情報が気になる方は以下のページをどうぞ。
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2014年1月7日。トルコのエルドアン首相が講演を行ないました。以下は、日経新聞の記事からの切抜きです。
来日中のトルコのエルドアン首相は7日、都内の日経ホールで講演し、「日本企業と共同で世界規模のプロジェクトを実現したい」と述べ、トルコのインフラ整備事業への日本企業の参入に期待を表明した。建国100年にあたる2023年をメドに経済規模を現在の約2.4倍の2兆ドル(約208兆円)とし、世界トップ10入りを目指す考えを強調した。
この所、トルコは政治的な混乱が続いてきました。結果、トルコの成長に疑義が生じています。今回の講演は、それを挽回しようとのアピールと見ています。
発言の内容には、①貿易規模の拡大、②日本企業との協力事例、③首相就任からの成長実績、④欧州との結びつき、そして⑤経済力の強固さの強調が含まれています。もともと、トルコは親日的な国です。特に、日本へのメッセージとして、インフラ整備に経済協力していきたいとの文言を残しています。
トルコ政府は大規模なインフラ整備事業を相次ぎ推進している。首相は日本企業との協力事例として原子力発電所の建設を挙げ「歴史的な合意」と評価した。日本政府は今月からの通常国会で、原発輸出の前提となるトルコとの原子力協定の承認をめざしている。
首相は大成建設が手がけたボスポラス海峡の海底トンネルに言及。イスタンブール西部イズミット湾でIHIが建設している世界4位のつり橋や三菱電機が受注した通信衛星を挙げたほか、ダーダネルス海峡のつり橋建設構想での日本企業との連携にも期待を示した。
実は、結構日本の企業はトルコに進出しています。上記のIHIと三菱電機をはじめ、トヨタが支社を作っていたり、三菱重工が戦車エンジンの共同開発プロジェクトを進めていたりと、相応の協力関係にあります。今回の首相の発言は、その結びつきを強めたいとの意図があってのことでしょう。
この所、トルコの成長は低迷していた感がありました。実際、デモや汚職事件をはじめとした政治的な混乱が続いています。世界を見ても、アメリカの金融緩和縮小・成長期待から新興国から資金が流出してきました。為替の推移を見ても、年末にUSD/TRY=2.18の高値を更新しています。トルコには、不遇の時が続いてきたように思います。
しかし、事態も収束へと向かっています。汚職事件関しては、それに絡んだ閣僚10人を交代するという大人事が行なわれました。
金融緩和についても、ドルが買われてリラ安となるでしょうが、この為替レートは輸出に有利に働きます。工業化を進めるトルコに追い風になるかもしれません。
年の初めの所信表明。これを機に再び成長への舵を切ることができるのでしょうか?2014年もトルコから目が離せません。