FXの高機能チャートツールであるMeta Trader 4(通称MT4)。近年では、このMT4での取引に対応した証券会社も増えています。しかし、MT4の機能の中には、なかなか使い方が知られていないものが多々あります。その一つが、スワップポイントを表示させるための操作です。
このページでは、MT4の操作画面において、各通貨ペアのスワップポイントを調べる方法をご紹介します。ただし、MT4の画面で確認することができる数字は、対象となるの通貨ペアのスワップレート(%)です。この点、スワップポイント(円)を割り出すための計算が必要になります。この計算式も併せてご紹介します。
MT4のスワップレート表示画面
早速ですが、MT4の取引画面でスワップポイントを表示する手順をご紹介しましょう。
はじめに、下記画像の通り、為替レートが表示されている窓の内側で右クリックをして下さい。
すると、サブメニューが現れます。この中から、「通貨ペア一覧」のメニューを選びます。
ご利用の証券会社が扱う通貨ペアの一覧が表示されます。この中から、目的の通貨ペアを選んで「設定」をクリックしてください。
最終的に、以下の通り、通貨ペアに関する情報画面が表示されます。赤枠で囲った部分がスワップポイントに関する数字です。
ただし、ここで注意があります。それは、表示されている数字は、売買スワップの利率(%)であることです。上図の場合、USD/TRYのスワップレート(%)が、10.512%(支払い)および8.312%(受け取り)であることを示しています。直接、スワップポイント(円)が表示される訳ではありません。
次章に示すように、スワップポイント(円)を求めるためには、スワップレート(%)を利用して計算をしてやらねばならないのです。
利率からスワップポイントを算出する
前述の通り、MT4で表示されるスワップレートは年利(%)の数字です。そこで、年利から毎日のスワップポイントを算出する計算式をご紹介します。
1日のスワップポイント(円)を算出する計算式は、以下の通りです。
スワップポイント(円/日)=取引通貨量×スワップレート(%)×0.01÷365(日)×為替レート
ここで、為替レートを利用するのは、外貨で計算されたスワップポイントを対円レートに換算するためです。例えば、USD/TRYをトレードする場合、日本円に換算するために、USD/JPNの為替レートを利用します。
- USD/TRYのスワップポイントを計算 ⇒ USD/JPNの為替レートを利用
- EUR/TRYの 〃 ⇒ EUR/JPNの 〃
- TRY/JPNの 〃 ⇒ TRY/JPNの 〃
例えば、USD/TRYの取引というのは、トルコリラ(TRY)で米ドル(USD)を売買する取引です。この点、トルコリラの為替レートを計算に利用しそうなものですが、必要になるのはUSD/JPNの為替レートです。この点、ちょっとややこしいので、理由を説明しましょう。解説がてら、具体的な例を用いて計算します。
計算例:トルコリラの買いスワップ
計算に利用する通貨と数字は、以下の通りです。 対象通貨:USD/TRY(ショート) 取引数量:10,000通貨 スワップレート:8.312%(受け取り) USD/JPNの為替レート:101.50円 まず、取引する数量は10,000USD/TRYです。 これに年利8.312%を掛けると、一年間のスワップポイントの金額が算出されます。 一年間のスワップポイント(リラ) =10,000USD/TRY×8.312×0.01 注意すべきは、金額の単位です。 USD/TRYの取引では、スワップポイントが本来、トルコリラで支払われます。 この段階ではまだ、単位「リラ」で金額を割り出しています。 これを365日で割ると一日当たりのスワップポイントが計算されます。 一日のスワップポイント(リラ/日) =10,000USD/TRY×8.312×0.01/365 最後に、単位「リラ」を「円」に換算しましょう。 TRY/JPNを掛け合わせると、円換算されます。 一日のスワップポイント(円/日) =一日のスワップポイント(リラ/日)×TRY/JPN 先ほどの計算式を当てはめると、以下の式にまとまります。 一日のスワップポイント(円/日) =10,000USD/TRY×8.312×0.01/365×TRY/JPN =10000×8.312×0.01÷365×USD/JPN 結局の所、トルコリラの項は消えてUSD/JPYだけが残るという訳です。 最後に、為替レートを当てはめて計算してやります。 スワップポイント =10000×8.312×0.01÷365×101.50 =231(円/日)
以上がスワップポイントを計算するプロセスです。ご理解頂けたでしょうか。
同じように、EUR/TRYのスワップポイントを求める場合ならEUR/JPNの為替レート、TRY/JPNの場合ならTRY/JPNの為替レートを掛け合わせる必要があります。ドルストレートやユーロ建て通貨ペアのスワップポイント計算は複雑ですが、算出の過程さえ覚えていれば、電卓やExcelを使って難なく計算することができます。
AVATradeとOANDA Japanの例
前章で計算した通り、USD/TRYの受け取りスワップは、10,000通貨当たり231円/日でした。随分と多いようですが、実はこれ、アヴァトレードジャパンで受け取ることができる実際のスワップポイントです。アヴァトレードはかなり高いスワップレートを提供しています。冒頭の例では、同社のMT4口座を使っています。
逆に、高金利通貨に限ってスワップレートが安い証券会社も存在します。例えば、ヒロセ通商です。丁度、同社の口座も持っているので、いくつかの金利通貨でスワップポイントを比較してみましょう。
通貨ペア | ポジション | AVA Tradeスワップ | ヒロセ通商スワップ |
---|---|---|---|
USD/TRY | ショート | 231 | 133 |
ロング | -292 | -173 | |
EUR/TRY | ショート | 309 | 171 |
ロング | -392 | -242 | |
USD/ZAR | ショート | 126 | 109 |
ロング | -175 | -113 |
※2014年7月の記録。スワップポイントは日々、変動します。
普段から本HPを隅々までご覧の読者の方は、お気づきになられたかと思います。気づかれなかった方は、以下の記事を読んでみて下さい。
スワップポイントが安いことは、損ばかりではありません。トルコリラのような高金利通貨を売り建てする場合には重宝します。この点、ヒロセ通商は純粋にキャピタルゲイン(為替差益)を追求するのに適した証券会社であると言えるでしょう。
OANDA Japanという例外
また、MT4口座を提供する証券会社の中でも、例外的な位置づけにFX業者があります。OANDA Japanです。この例をご紹介しておしまいにしましょう。
OANDA Japanの口座にログインした状態で、冒頭の手順を踏むと以下の画面が表示されます。
ご覧の通り、スワップレートが表示されないのです。
これは、OANDA Japanがセコンドスワップ制という特殊なスワップポイントの算出方法を採用しているためであると考えます。OANDA Japanの口座では、毎秒毎に変化するスワップレートに合わせて、時々刻々とスワップポイントが計上されます。
この点、スワップポイントが算出できないように思われるかもしれませんが、同社はHPでスワップレートを公表していますので、おおよその目安を調べることは可能です。
おわりに
FXの高機能チャートツールとして知られるMetaTrader4(通称MT4)。外資系証券会社を始め、近年では国内でもMT4対応口座を提供するFX業者が増えています。
しかしながら、使い慣れないツールに戸惑う読者の方も多いかもしれません。実際、今回ご紹介した方法は、よっぽどMT4を使い慣れた方でないと気づくことのない機能でしょう。筆者も今回の記事を書くに当たり、色々と調べなおしました。
もっとも、MT4に限らず、スワップポイントの計算方法を正しく解説しているホームページ・ブログはほとんどないようです。少なくとも、筆者の調べた中には、一つもありませんでした。それが今回、記事にまとめてみようと思ったきっかけです。本記事が、読者の方に有益なトレードをもたらすことを切に願います。