6月の間にリバウンド相場を続けてきたトルコリラ。しかし、短期の戻りも終了。新たな材料を探す展開となりました。
足元ではロシアからのS400導入や米国との対立悪化、さらにムーディーズの格下げで揺れるトルコ。あまりに材料が多すぎるため織り込み済みの材料と今後の材料が混沌としています。
そんな訳で、今回はニュースを元に短期見通しを語りたいと思います。トルコリラ相場に関わる既存の材料と新規のネタを切り分けながら、管理人なりの相場感を述べていきます。
トルコリラはリバウンド相場終了で新たな材料を探る展開
はじめにトルコリラの直近の値動きを見返してみましょう。
トルコリラは6月いっぱいに掛けてリバウンドの状況にありました。5月には対米関係の悪化からトルコリラの通貨レートが暴落。その買い戻しで6月はリバウンド上昇を決め込んでいたのです。
以下は直近のトルコリラ円のチャートです。
もっとも、そんなリバウンド相場も6月終了で一旦は手仕舞いといったところでしょうか。7月入りを控えて、今後は新たな材料を探す展開となっています。
リバウンド相場の中で消化された取引材料
前述のリバウンド相場の最中も、いくつか新規の材料が出ました。いろいろとニュースは飛び交っていますが、一番大きかったのがトルコの格付けが引き下げられたことです。
[イスタンブール 14日 ロイター] – 格付け会社ムーディーズは14日、トルコの信用格付けを従来の「Ba3」から「B1」に引き下げた。引き下げは昨年8月以来。国際収支の悪化や債務不履行(デフォルト)を巡るリスクが引き続き高まっていると指摘した。
幸いにも、格付けの引下げによる為替レートの値動きは限定的に留まりました。リバウンド相場の中に飲み込まれた形です。時期が時期であればもっと下落しても良いのですが、既にトルコリラ自体が売り込まれている状況でしたので、リバウンド相場の中に吸収されるニュースとなりました。
他にも、トルコのエルドアン大統領から「S400は購入済み」との発言が飛び出しましたが、これもリバウンド相場の中に吸収されました。結果として、戻り幅を減らすニュースとなりましたが、幸いにも暴落の材料とはならずに済みました。
トルコリラの今後を左右する材料
消化済みのニュースに触れた訳ですが、では今後の見通しはどうなることでしょう。管理人は大きく分けて3つの材料があると考えます。
- イスタンブール市長選の再投票
- 米国との外交関係
- ヘッジファンドの需給動向
内政・外交・需給と3つの観点から、今後の見通しを語っていきたいと思います。
イスタンブール市長選のリスクは織り込み済みか
最初は内政面の材料です。トルコでは本日23日にイスタンブール市長選の再投票が行われます。気になるのは与党と野党、どちらかが勝つか?という点でしょうか。
ただ、管理人はこの材料にあまり重きを置いていません。というのも、本来の地方選は既に投票が終わって多勢が決しています。あまり相場を動かす材料にはならないんではないでしょうか。
異議申し立てという形で蒸し返したのが今回の地方選の悪いところでした。ただ、そんな悪材料も既に為替レートに織り込みました。今回、再投票という形でやり直しを実施している訳ですが、どちらが勝ってもあまりインパクトのない材料になると思います。
市場の目は米国との対立改善に主軸を移す
むしろ、一番重要となっている材料がこちらです。米国との対立改善の動きです。
冒頭に書いた通り、トルコはロシア製ミサイルシステムS400の購入を巡って米国との対立を深めています。ただ、悪化した関係を改善するチャンスが出てきているのです。首脳同士の会談です。
[イスタンブール/ワシントン 29日 ロイター] – トルコのエルドアン大統領とトランプ米大統領が29日、電話協議し、日本で来月開催される20カ国・地域(G20)首脳会議の合間に会談することで一致した。トルコ大統領府幹部が明らかにした。
先ほどと同じく、ロイターからのニュースです。7月には日本でG20が開催される訳ですが、その合間を縫ってトランプ大統領とトルコのエルドアン大統領が会談するというのです。
この会談で焦点となるのは、S400の一件と経済制裁、そしてイラン問題でしょう。米国としてはS400の一件をネタに新たな経済制裁を加えるぞ、と脅しに掛かるはずです。しかし、トルコにイランをバックアップされると困ります。落としどころとしては、イラン問題から手を引くことを条件に、経済制裁の話を白紙に戻すという材料を提供することでしょう。
結果がどうなるかは分かりません。ただ、両国の対立問題は既に為替レートに織り込まれています。そして、得てして市場は期待で動くものです。会談終了までの間、トルコリラにとっては会談の実施がプラスの材料になると考えます。
ヘッジファンドの売りの標的は南アフリカランドへ
需給面では少しだけ嬉しい話もあります。ヘッジファンド勢の売りの標的がトルコリラから南アフリカランドに移ったという点です。
[ロンドン 20日 ロイター] – 投資家が売りの標的とする新興国通貨の一番手に、トルコリラやアルゼンチンペソを差し置いて、南アフリカランドが躍り出てきた。
(中略)
オックスフォード・エコノミクスは、債務危機が起きるリスクが大きい主要新興国のランキングで南アをトルコとアルゼンチンよりも上位に置いており、エコノミストのEvghenia Sleptsova氏はその状況が確実に格下げ圧力になるとの見方を示した。
背景にはトルコの高い政策金利やリラの売りを防ぐ数々の金融政策があるのでしょう。ファンドにとっても、トルコリラは売りづらい通貨となってきました。すくなくとも、長期の売り持ちはファンドにとっても堪えるはずです。
そろそろ、売り圧力は減ってくるものと思います。
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以上の通り、今回は個別のニュースを元にトルコリラの短期見通しを語ってみました。そろそろまとめに入りたいと思います。
値動きのまとめとして、トルコリラの7月相場は緩やかに上昇するものとみています。ただし、先に述べた通り、米国からの追加制裁という大きなリスクを抱えています。ここから売買するならば、暴落に備えた損切りは必須と考えます。もしかしたら、結果的に短期のトレードとなるかも知れません。
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