毎年恒例、トルコリラの見通しを語る人気シリーズ。今年2018年も今後一年間の為替相場を予想しましょう。トルコ独自の経済環境や大国アメリカの金融政策を交えながら、為替レートの行く末を見通していきたいと思います。
一言で言って、今年はリバウンドの年になると考えます。管理人も長期保有のポジションを仕込んじゃいます。
2018年はリバウンドの年
最初に現在の状況からおさらいしましょう。昨年2017年のトルコリラは「転換の年」であったと考えます。最安値を更新する状況こそあったものの、一昨年のような驚異的な下落はなく、むしろ持ち直してきた感が見えてきました。
長期チャートでは、長らく続いた下落トレンドのトレンドラインをブレーク。現在は鍋底型のレンジ相場に入り、トレンド転換へのエネルギーをため込んでいるように見えます。
ファンダメンタルズの面でも、シリア内紛が休戦に至るという大きな転換点も迎えました。あれだけ難民やらテロやらとトルコ国内を騒がせてきた大問題でしたらから、この悪材料が消化されたことが何よりも良い材料であると考えます。幸いにも、最近ではめっきりシリア関連のニュースを耳にしなくなりました。
米国の金融緩和策が終了したことも大きなプラス材料です。従来から続いてきた金融緩和策により、新興国は軒並み資金流出の憂き目にあってきました。その流れがFRBの利上げ策により変わってきています。むしろ、海外紙では再び新興国投資の話題が取り沙汰され、事実、トルコ株も株価上昇の恩恵に預かっているようです。
こうした好適な金融環境への変化を受けて、2018年はトルコリラにとってリバウンドの年になると考えます。今後の見通しと併せて、具体的な材料を読み解いていきたいと思います。
注目すべきFX材料~2018年前半
トルコ国内の独自材料と米国の政策動向をピックアップして解説したいと思います。管理人が注目している材料は主に3点。トルコ中央銀行の動向とトルコの財政収支、そして米国経済委員会の金融政策です。
トルコ政策金利とインフレ動向
最初はトルコ中央銀行の動向です。知っての通り、トルコの政策金利はトルコ中銀によってコントロールされています。ただ、トルコは元来、政府の介入圧力が強く、中央銀行がなかなか独自の判断で金融政策を決めることができない状況にありました。利上げしたい中銀と緩和策を進めたい政府が対立するという構図があったのです。
ただ、ごく最近になって政府から利上げを許容する旨の発言が出てきました。エルドアン大統領の経済顧問から「利上げは残念だが仕方なし」という主旨の発言が出ているのです。この変化を受けて、中銀が目論見通りに政策金利の引き締めを敢行することができれば、トルコリラのFXレートにとって大きくプラスに働くことでしょう。FXレートにプラスに働く理由は、言わずもがなのインフレ抑制です。
中銀が利上げによる引き締め策を進めると同時に、インフレ動向を示す「消費者物価指数」の数字に結果が現れるようであれば、国も通貨もその信用を回復することでしょう。うまくすれば、トルコの格付け回復もあるかも知れません。実際、同じ新興国でもメキシコではインフレのコントロールに成功していて、国債の格付けを維持できています。
財政収支に対する市場の反応
マイナス材料という意味では、トルコの財政収支がクローズアップされるかも知れません。プラス材料ではなくマイナス材料です。歳出の多さが注目されるようだと、市場参加者の投資心理を悪化させる懸念があります。
なぜここで財政収支を持ち出したかと言えば、トルコが海外からの投資に頼る対外債務国であるからです。対外債務は利子の支払いも外貨レートですから、トルコリラ安で利払いの負担が大きくなります。そして、この数年でトルコリラの対外為替レートは大きく落ち込みましたから、外貨払いの負担たるや大変なものです。
トルコ含む新興国は軒並み対外債務国なので、本来的には「織り込み済み」であるはずの材料です。何しろ、そのリスクの対価として高い成長率と高金利をアピールし、資本を集めているのですから。ただ、それでも市場心理に水を差したい勢力はいるもので、メディア等に悪い噂が流れればやはり投資環境は冷え込みます。
例年は、年に4回の財政収支とGDP成長率の発表があります。そんなイベント前にトルコリラのFXレートが下がるようなら、市場参加者がリスクを嫌って調整している証拠です。イベント前に下がるようなら買い、上がるようなら売りでしょうか。うまく市場環境に合わせたポジション調整をしたいものです。
米国政策と利上げの状況
最後の材料が米国の経済状況です。基本的に世界の経済を引っ張っているのはアメリカであり、トルコも大きな影響を受けています。
面白い話としては、利上げが進むほどに投資環境はバブリーな状況に傾いていくことでしょうか。本来的に利上げは引き締め策なのですが、機関投資家は高い借り入れ金利がある中でも利益を出さねばなりません。借り入れ金利の支払いをペイすべく、彼らがより一層のリスクテイクに傾く度に、市場はゆっくりとバブルへの歩みを強めます。
こうした遷移期間に発生しやすいのがキャリートレード含む新興国投資です。日本は未だにゼロ金利ですので、トルコリラと日本円の金利差は魅力的であるはずです。「ほどほどの利上げ」と「リスクテイク姿勢」が合わさったとき、新興国投資というリスク資産への投資が検討されやすいようです。
ただ、飽くまで「ほどほど」であることが肝心で、決してバブルに突入させてはなりません。この点が次期FRB議長に指名されたパウエル理事の使命でしょう。幸いにも同氏はハト派で、現行の緩やかな利上げ路線を引き継ぐと予想されています。
さあ長期ポジションを仕込む年だ
以上の通り、今年も新年の相場予想を披露してみました。幸いにも2017年の予想はなかなかに無難な結果となりました。果たして、2018年の予想は1年後にどう評価されるのでしょうか。
そんな管理人は、とうとう長期ポジションを仕込みことに決めました。ただし、一括購入ではなく分散購入を考えています。いわゆる積み立てでリスク分散を図る方針で、毎月のタイミングだけうまく捕らえようと思います。今年もtwitterでアナウンスしていきたいと思います。
そんな訳で、直近の予想は1トルコリラ=29円~32円のレンジ相場です。このレンジ相場の中でポジションを積み立てていければ御の字です。ゆっくり、しっかり、投資を続けていこうと思います。
以上、2018年の抱負と為替予想でした。
※本記事の内容は現在と将来に渡る事実を保証するものでなく、飽くまで管理人一個人の主観的判断に基づくものです。FXは自己責任です。本記事の内容による、いかなる損失も幣サイトでは補償いたしません。