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エルドアン大統領がトルコ中銀と手を結んだ日

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先日5月9日。トルコリラにとっての朗報が為替ニュースに流れました。エルドアン大統領が緊急経済会合を招集し、中銀総裁が出席したというのです。

ポイントは、会合終了後にエルドアン大統領自らがトルコ中銀の自治性を認める発言をしたことです。一体、どのような変化があったのでしょうか。

今回は、事態の経緯と今後の進展予想を解説していきたいと思います。

緊急会合後に中銀の自治を認める発言

最初に事の経緯から解説しましょう。去る2018年5月9日にトルコのエルドアン大統領は緊急経済会合を招集したと報道されました。その理由は、度重なるトルコリラの安値更新を受け、通貨安対策の緊急度が高まったからであると推測されています。

興味深い点は、この会合にトルコ中銀のチェティンカヤ総裁が出席したことです。従来、エルドアン大統領は中銀の利上げ政策を糾弾する立場にありました。ただ、繰り返しになりますが、トルコリラが何度も安値を更新し、インフレ率も高まる昨今の事情があります。これを鑑みれば、従来の関係など構ってはいられない緊急性があったのでしょう。

実際問題として、会合終了後にエルドアン大統領から以下の主旨の重要発言がありました。これがまた、非常に重要度ポイントが高い発言でした。以下は管理人の意訳です。

  • これからもインフレに対しては徹底抗戦を続ける
  • 中銀はそのための権限を効果的に行使するだろう
  • (記者の質問に対して)それでも方針通りの経済成長を続ける予定だ

最重要のコメントが2番目のそれです。というのも、これは事実上、トルコ中銀の利上げ策を認めたことになるからです。トルコ中銀は、その直前の金融会合で利上げ策を実施しました。ここにお叱りがないどころか、トルコ中銀の自治を認める発言があるとなると、これはもう、利上げ容認と判断される訳です。

国策に売りなしでリラ高期待高まる

前述の通り、事実上の利上げ容認発言で市場は色めき立ちました。トルコリラは安値更新からの急反発。差し当たり、安値更新の勢いは衰えた感触を受けました。まさに「国策に売りなし」の状況です。

では、なぜエルドアン大統領は突然に利上げを容認する事態になったのでしょう。キーワードは、やはり「選挙」と言えるでしょう。インフレは国民にとって、もはや悩みの種です。それが解消されるとなれば、支持率は上昇。選挙を優位に運ぶことができると踏んだのでしょう。ここら辺が論理的に導き出される理由です。

もっとも、以前より大統領の経済顧問も利上げ賛成派でした。加えて、今回の経済会合でエルドアン大統領とチェティンカヤ総裁の会話もあったと考えれば、いよいよエルドアン大統領も利上げの意味を理解したのではないかとも推測されます。

いずれにしても、これでトルコ中銀は懸念なく政策金利を引き上げることができます。一部の報道では「中銀は利上げを余儀なくされる」との表現がありましたが、それは誤解です。正しくは「好きなように利上げすることができる」と言えるでしょう。あとは来月に控える政策会合を待つばかりとなりました。

選挙終了後に緊縮財政発動か

最後にもう少しだけ先のお話です。従来、エルドアン大統領はリフレ派で様々な緩和策を続けてきました。それらの政策はGDP成長率との相性は良いものの、インフレと折り合いが付きません。従って、選挙が終わった後に緊縮策を打つのではないかとの憶測も広がっています。

緊縮策ですので、トルコの株式にとってはマイナス要因となりそうです。一方で、債券と為替にはプラスに働くことでしょう。国が破綻するリスクが後退するためです。FXでも大いにトルコリラに期待を寄せてよいと考えます。

差し当たり、目先のリスクは選挙でしょうか。中銀の利上げと重なると悩ましい所ですが、利上げ観測が広がるにつれてリラは買われていくのではないかと考えています。個人的には、選挙は与党勝利の出来レースと考えています。

そんな訳で、2018年のトルコリラ。ここら辺が大きな転換点なのではないでしょうか。今後の値動きに期待が高まります。

参考:トルコリラ管理人のFX予想~2018年の展望

※本記事は管理人個人の主観・推測を示した内容であり、客観的事実を保証するものではありません。FXは自己責任です。投資に当たっては、読者の方それぞれ個人の判断にて願います。

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