ここでは、トルコリラのサヤ取りの手法についてご紹介します。
トルコリラのような高金利通貨はFX会社の間でスワップポイントの金額にばらつきがあります。そのスワップポイントの差額を利用して利益を上げようという手法が存在するのです。それがサヤ取りです。異なるFX会社を使って両建てするため異業者両建てとも呼ばれます。英語で言うとアービトラージとかスワップアープと呼びますね。
以下にはトルコリラのサヤ取りについて、具体的な方法を紹介していきたいと思います。
異なるFX会社で両建てしてスワップ金利だけを取る
いま、A社というFX会社があるとします。 このFX会社は、スワップ金利の高さに定評があります。 A社のトルコリラ円のスワップ金利は+78円/日です。
また、別にB社があるとします。 B社はシステムトレード重視の投資家に人気があります。 そのため、B社のスワップポイントは安く、売り建てで-61円/日です。
さて、問題です。 A社でトルコリラ円を買い建て(Ask)し、同時にB社で売り建て(Bid)するとどうなるでしょう?
スワップポイント(トルコリラ/円・1万通貨当たり) | |
---|---|
A社 | 買いスワップ+78円/日 |
B社 | 売りスワップ-61円/日 |
差額 | +17円/日 |
答えは、ご覧の通りです。 A社とB社の間でスワップ金利に差があるため、毎日+20円の利子が発生します。 このように、異なる二つの条件の有利不利を組み合わせた手法を「裁定取引」、「サヤ取り」、英語ではアービトラージュ(Arbitrage)とよびます。
通常、単純に両建てしただけでは、差損も差益も生じません。 しかし、FX会社の間でスワップポイントの差額が大きいようなら、両建てしても差額で利益が発生します。今回ご紹介するのは、そんなトルコリラのスワップポイントのサヤ取りをしてみようというお話です。為替レートの変動リスクを減らしながら、堅実にスワップポイントの利益を狙います。
トルコリラの両建て裁定取引は可能か?
ドルやユーロのようなメジャー通貨は低金利であるため、一般には裁定の機会は存在しません。 ですが、新興国通貨や高金利通貨では、FX業者間で金利差が発生することがあります。 特に、トルコリラは取引が普及し始めたばかりなので、FX会社の間でスワップポイントの差が顕著です。
そのような訳で、トルコリラはサヤ取りによってスワップポイントの差額を稼ぐことは十分に可能です。
前述のA社とB社も実在しています。
2019年現在
口座の種類 | FX会社 | スワップポイント |
---|---|---|
買い持ち口座 | インヴァスト証券 | 買いスワップ+78円/日 |
売り持ち口座 | セントラル短資FX | 売りスワップ-61円/日 |
差額 | +17円/日 |
買い持ち口座を提供するA社はインヴァスト証券です。
インヴァスト証券は、現在、絶賛キャンペーン中です。スワップポイントの金額が頭一つ飛びぬけていて、サービスの良いFX会社です。2019年現在、他のFX会社ではトルコリラ円のスワップ金利は最大でも+70円程度です。それに対してトレーダーズ証券のスワップポイントは+78円/日です(※)。
売り持ち口座のB社はセントラル短資FXです。
セントラル短資FXは老舗のFX会社でサービスの安定感に定評のあるFX会社です。スプレッドが非常に狭くて便利なのですが、スワップポイントは抑え目です。そのため、売りスワップの支払い負担も少なく現在-72円程度で済んでいます(※)。
(※注意:これは記事掲載当時の情報です。スワップポイントは為替環境と各社の取り組みによって変動します。最新のスワップポイントに関しては、ご自信で確認・判断ください。弊HPでも、こちらのページで最新の情報を公開しています。)
以上のように、インヴァスト証券の買い持ち(Ask)とセントラル短資FXの売り持ち(Bid)の組合せで、両建てにしても金利差益が発生するのです。
FXでコツコツ増やすならスワップサヤ取り
スワップ金利狙いの戦略を取る場合のメリット・デメリットを解説します。
スワップの裁定を取る(サヤ取りをする)場合、毎日の利益は10,000通貨×2で+20円程度です。 少ないようでいて、これがなかなか馬鹿にできません。 単利で計算しても、年間の利益は7,000円程度になります。
一方、売り(Bid)と買い(Ask)を同時に行なうためには、それなりの投資資金が必要です。 売り買い合わせて20,000通貨の両建てを維持するには、およそ10万円程度の資金が必要です。
結果、10万円の元金に対する利益が7,000円で、年間の利回り7%程度を見込むことができます。
相場変動のリスクを抑えて、長期に堅実に貯めるポートフォリオに向いているといえます。
為替差損が発生しないからと言って、放置は好ましくありません。 ロスカットが発生するからです。 建て玉を建てたら、日々、トルコリラの相場を見張らなければなりません。
ロスカットを避けるのに、資金の移動も必要です。 一方の口座で利益が出ているなら、もう一方の口座はマイナス益です。 プラス益の口座からマイナス益の口座に、資金を移動させてやらねばなりません。
また、裁定の機会が解消されることもあります。つまり、支払いスワップが受け取りスワップを上回るケースです。その場合は、利益が目減りする一方です。日々のスワップポイントの金額を確認し、利益が増えていることを監視する必要もあります。
トルコリラを機械的に保守するだけの安全運用
以上のように、裁定取引は時間とFX会社を味方に付けることで、確実にスワップ金利だけを稼ぐことができる手法です。 日々の監視・保守のメンテナンスが必要であるものの、あまり高度な知識を必要としません。
このため、堅実・安全に運用したい余剰資金がある場合に適しています。 トルコリラ建てMMFや債権を買ってプロに運用を任せるのも良いですが、元本割れのリスクは拭えません。 運用報酬の金額も利益を圧迫します。 ならば、裁定取引で自分でしっかり運用した方が、賢い投資家であると考えます。
当然ながら、裁定取引に向いたFX会社は今回ご紹介した2社に限りません。興味のある方は以下の記事もご覧ください。トルコリラの買い持ち口座に向いたFX会社をご紹介しています。