先日、トルコリラは米国との対立問題を受けて大きく下落しました。その影響が国内のFX業界にも波及しています。今回は、トルコショックとFX業界への影響を論じたいと思います。
今回のトルコショックは大まかに言って、トルコと米国の外交摩擦が原因です。その背景には、年末に控える米国中間選挙に対するトランプ大統領の思惑があるのでしょう。キリスト教勢力の得票を期待したのでしょうか。トルコ国内に拘留されている牧師の釈放を巡って、トルコと米国の外交問題が勃発しました。
以下には、事のあらましからFX業界の影響までを端的に述べていきたいと思います。
トルコショックとその概要
最初に事のあらましから。8月初旬にトルコリラは大きな下落の憂き目に遭いました。理由はトルコと米国の対立問題。トルコ国内で拘束された牧師の釈放を巡って、トランプ大統領がトルコに果たし状を突き付けました。
事態は経済制裁の領域まで波及。まずは米国側から、トルコ閣僚の資金凍結という措置が取られ、それに応戦する形でトルコが反撃。エルドアン大統領が米国製品の不買運動を呼び掛けるなど、両者の溝が著しく深まる結果となりました。
一応はトルコ側から米国に使者を送り、和解の道も模索されました。しかし、なんと使者の中に英語を話せる人材がおらず、事態はさらに混沌とした状態へ。むしろ、米国サイドはトルコリラの下落を見て強気の姿勢を取り、いまだ事態は収束していない状況です。
この一連の流れの中で、トルコリラは対ドルでとうとうUSD/TRY=7.0を記録。トルコリラ円に至っては、リスク回避の円高の流れもあり15円を記録するという事態になりました。
FX業界への波及(証拠金の変更など)
こうした一連の事態を受けて困るのが、日本国内の投資家とFX会社です。日本ではトルコリラの買いポジションに非常に人気があり、くりっく365では9割以上のロング(買いポジション)が構築されておりました。それが今回の下落で大幅な損失を被りましたから、相場の力学とは言え、迷惑以外の何物でもありません。
困るのはFX会社も同じです。もともとトルコリラの流動性を確保するには、ある程度の努力が必要です。それが事実上の取引停止ですから、FX会社のディーラーも苦労したに違いありません。FX会社によっては、売買スプレッドがかなりひろくなった会社も報告されています。
上記はセントラル短資FXから出されている、証拠金率変更のお知らせです。セントラル短資FXでは、従来からのトルコリラの証拠金率を4%から10%に引き上げました。レバレッジの数字で言えば、25倍から10倍への引き下げですね。
勘違いして頂きたくないのは、こうした変更は投資家保護の観点でも行われている点です。トルコリラのような急激な上下動が起こる通貨では、ハイレバレッジが致命傷になることが多々あります。その局面で投資家を破産させない仕組みがレバレッジです。
トルコリラのような新興国通貨では、こうした変更を目にする機会がこれまでも度々ありました。
スプレッド維持はFX会社の努力次第
個人的に興味があるのが、これからFX会社がスプレッドの変更をどうするかという点です。従来まで、トルコリラのスプレッドは順調に狭まってきました。流動性が向上してきたためです。ただ、今回のトルコショック以降にまた流動性が低下すると、スプレッドが拡大しかねません。その事態だけは勘弁して欲しいと思っています。
トルコショックそのものはまだ予断を許さない状況です。ただ、FX業界のスプレッドは落ち着きを取り戻しつつあります。以下は、事後に取ったFX取引ツールのスクリーンショットです。
セントラル短資FXでは、どうやら恒常的なスプレッドの拡大はなさそうです。さすがトルコリラ老舗の安定感といったところでしょうか。きっと優秀なカバー先銀行を持っているのでしょうね。FXをするなら、こうした安定感のあるFX会社で取引をしていきたいものです。
現在のトルコリラはリバウンド狙いの局面にあります。FXですからリスクある挑戦は止めはしませんが、可能な限りのリスクも排除したいもの。是非とも、安定感のあるFX会社で挑戦して頂きたいと思います。